そば粉の用語集
そば粉を仕入れるときの言葉は、店によって、産地によって、少しずつ指すものが違います。ここでは製粉所の立場から、どの言葉が何を指しているかを整理しました。
ご注文のときに「どう言えば伝わるか」で迷ったら、このページの言葉をそのままお使いください。言葉が違っても、やりたいことを伺えればこちらで読み替えます。
実の状態をあらわす言葉
玄そば(げんそば)
殻が付いたままのそばの実です。黒い三角形の、あの姿のものを指します。畑から出てきたままに近い状態で、これを脱皮して丸抜きにし、挽いてそば粉にします。
玄そばのまま仕入れて自家製粉する店もあります。茨城製粉では麻袋1袋22.5kgでお届けしています。長く置けるのが利点ですが、脱皮の設備が要ります。
石抜き(いしぬき)
玄そばに混ざった小石や異物を取り除く工程です。実と石は比重が違うので、その差を使って分けます。
茨城製粉では、これをいちばん最初に行います。石が混じったまま先へ進めると、脱皮の機械も石臼も傷めますし、粉に石の粉が混じります。
磨き(みがき)
玄そばの表面に付いた土や埃を落とす工程です。実どうしをこすり合わせて落とします。「磨き有」「磨き無」で区別します。
そばの実は三角で角があり、溝もあるため、一度かけただけでは落ちきりません。茨城製粉では丁寧に複数回かけ、玄そばがきれいになった状態にしてから次の工程へ送ります。
自家製粉をされる店では、脱皮の前に自店で磨かれる場合もあるため、「磨き無」もご用意しています。
丸抜き(まるぬき)
玄そばの殻を取り除いた、中身の実です。「抜き実」「むき実」とも呼ばれます。薄い緑色をしています。
丸抜きで仕入れると、店の石臼やロール機で、使う分だけ挽けるのが最大の利点です。そば粉は挽いた瞬間から香りが逃げていきますので、挽きたてを出したい店は丸抜きを選びます。粉より日持ちもします。
茨城製粉では、そばの実をサイズごとに細かく選別してから、その大きさに合わせて脱皮しています。大きさの違う実をまとめて脱皮すると、小さい実が割れます。割れの少ない丸抜きになるのは、この選別のためです。
脱皮しても、殻が残る実や半分だけ剥けた実が必ず出ます。これを色彩選別機で完全に分け、剥けた実だけを丸抜きとして残します。色の悪い実と異物も、ここで落ちます。詳しくは玄そばが粉になるまでをご覧ください。
挽き方をあらわす言葉
一番粉(いちばんこ)・更科粉(さらしなこ)
丸抜きを挽いたときに最初に出てくる、実の中心部分の粉です。真っ白で、でんぷんが主体です。香りは穏やかで、口あたりが上品になります。
この一番粉だけを使って打つのが更科そばです。白く、つるりとしたそばになります。ただし一番粉はつながる力が弱いため、打つのに技術が要ります。「更科粉」は一番粉とほぼ同じものを指す言葉として使われます。
二番粉(にばんこ)
一番粉を取ったあと、実の中間から外側にかけて挽いた粉です。わずかに緑がかっています。でんぷんに加えて、たんぱく質と香りの成分が入ってきます。
そば屋でいちばん多く使われるのがこの二番粉です。香りと打ちやすさのつり合いが取れており、一般に「そば粉」として売られているものの多くはここを指します。
三番粉(さんばんこ)
さらに外側、甘皮に近い部分の粉です。色が濃く、香りと風味が強く出ます。田舎そばの色と香りは、この部分によるものです。つながりは弱くなります。
挽きぐるみ(ひきぐるみ)・全粒粉
丸抜きを分けずに、まるごと挽いた粉です。一番粉から三番粉までが混ざった状態になります。「挽きぐるみ」という言い方が最も一般的で、「全層粉」「丸挽き」とも呼ばれます。
そばの実の持っているものがそのまま出るため、産地や銘柄の違いがいちばん分かりやすく出ます。色は薄い緑から灰色がかった色。香りは強く、つながりは二番粉と三番粉の中間です。
なお「挽きぐるみ」を、殻ごと挽いた粉の意味で使う店もあります。茨城製粉では殻を取った丸抜きをまるごと挽いたものを指しています。行き違いを防ぐため、ご注文の際は「殻は入れるか、入れないか」までお伝えいただけると確実です。
石臼挽き(いしうすびき)
石の臼でゆっくり挽く方法です。ロール製粉に比べて熱が上がりにくく、香りが飛びにくいとされています。そのぶん時間がかかります。
茨城製粉は石臼で挽いています。ただし石臼なら何でもよいわけではなく、その日の実に合った挽き方の点を探すことが肝心です。農家ごと、区画ごとに実の性質が違うため、毎日、肌ざわりと香りと味を確かめながら合わせています。
ふるい(メッシュ)
挽いた粉を通す網の細かさです。数字が大きいほど網の目が細かく、粉も細かくなります。1インチあたりの網の目の数を指しています。
| ふるい | 粉の細かさ | 出やすい性格 |
|---|---|---|
| 10〜30 | 粗い | ざらつきが残り、香りと歯ざわりが前に出る。田舎そば向き |
| 40 | 標準 | いちばん多く使われる。香りとのど越しのつり合いが取れる |
| 50〜60 | やや細かい | 口あたりが滑らかになる。細打ちに向く |
| 70〜80 | 細かい | とても滑らか。更科に近い口あたり。つながりには技術が要る |
迷ったら40メッシュです。いま使っている粉の目を変えたいときは、まず一段だけ動かしてみるのが確実です。
茨城製粉では10〜80メッシュを承ります。50メッシュより細かいご指定は、手間がかかるぶん1kgあたりの加算をいただきます(50は10円、60は20円、70は40円、80は60円)。詳しくはお取引についてをご覧ください。
打ち粉(うちこ)
そばを打つとき、くっつかないように振る粉です。「花粉(はなこ)」とも呼ばれます。一番粉に近い、さらさらした粉が使われます。
打ち粉は生地に混ざりこむので、質の悪いものを使うとそばの味に出ます。茨城製粉では1袋10kgでお届けしています。銘柄の指定はなく、打ち粉としての質でお選びいただく商品です。
年産・新そば
年産(ねんさん)
その実が収穫された年です。「2025年産」なら2025年の秋に穫れた実を指します。同じ銘柄でも年によって出来が違うため、仕入れの際は必ず年産を確認します。
ご注文のときは、いまの年産を初期値でご用意しています。年産をまたいで使い分けたい場合はお申し付けください。
新そば(しんそば)
その年に穫れたばかりのそばです。秋に穫れる秋新と、夏に穫れる夏新があります。常陸秋そばは秋に穫れる品種です。
新そばは香りが立ち、色も鮮やかです。ただし水分が多いため、前年産と同じ手順で打つと手ごたえが変わります。切り替えの時期は、加水を控えめに始めてください。
ご注文のときの伝え方
次の4つが決まっていれば、そのまま挽けます。
- 銘柄綱條・頼房・光圀のいずれか。迷ったら綱條から。
- 商品玄そば・丸抜き・そば粉・打ち粉のいずれか。
- ふるいそば粉の場合のみ。迷ったら40メッシュ。
- 数量そば粉と丸抜きは5kg袋、玄そばは22.5kg袋が単位です。
決まっていない項目があっても構いません。「いまこういう粉を使っていて、こう変えたい」とお伝えいただければ、こちらから挽き方をご提案します。オーダー製粉として承っています。
あわせてご覧ください。
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常陸秋そばと産地のはなし 県北と県西で何が変わるか
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